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書評⑦ アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役

今回の書評はビジネス界では鉄板の 京セラ創始者の稲森和夫氏のアメーバ経営についての本んです。

 

 

タイトル   アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役 

 

出版社    日本経済新聞社 

 

著者     稲盛和夫 

 

価格(税別) 1500円

 

 

 

中小企業経営者    ☆☆☆☆

 

中企業診断士勉強者  ☆☆☆

 

 

 

<内容>

(1) 経営の原則   

 売上を最大に、経費を最小にすれば、その差である付加価値も最大になる。

 

(2) 仕組概略    

  1. まず技能あり、それに応じて組織がある。
  2. 大集団を小集団に分けて、それぞれにリーダーを置いて独立して採算を管理してもらう。
  3. 会社全体を小さなユニットオペレーションに分割し、そのユニットがお互いに社内で売買するような仕組みを設けた。
  4. 品質管理の面でも大きな効果を発揮する。つまり社内売買ごとに品質の関所が設けられ、品質がチェックされるようになる。
  5. アメーバの責任者は、自分で管理できない労務費ではなく、生産性を捉える上で重要な時間の管理に主眼を置いている。
  6. 市場価格の動向を示す受注金額がダイレクトに製造部門に伝わる仕組み。
  7. 会社方針、各事業部長、各アメーバリーダーがも区報設定で同じベクトルを持つ。

(3) 目的

  1. 市場に直結した部門別採算制度の確立
  2. 経営者意識を持つ人材の育成
  3. 全員参加経営の実現

(4) 効果など

  • リーダーが創意工夫をする余地があり、やりがいが生まれる。
  • 組織を細分化する際には、経営者の眼から見て、どのような単位で採算を捉えれば経営の実態がより明瞭に見えてくるのかが鍵となる⇒見ることが出来る。
  • アメーバの責任者になるべき人材が不足している場合には、組織をあるべき姿に分けて、将来性のあるリーダーを抜擢し、育成していくことが必要⇒必要なリーダーの数の把握と、リーダー教育の機会が増える。
  • 社員の大部分を占める製造部門が、自分の作った製品の原価しか知らない一般の会社と、アメーバ経営を採用している会社では、従業員の採算意識に雲泥の差が生じる。
  • 各アメーバが時間当たりを上げようと努力するため、常に総時間を意識して生産性を上げるように創意工夫を重ねている。
  • 受注生産の場合:お客様への売上=製造部門の生産金額ととらえることによって、製造部門は市場価格を常に把握することができる。営業は生産金額の〇〇%という口銭をもらう。⇒営業のインセンティブ
  • 在庫販売の場合:市場価格を基に営業・製造間で決められた社内売買価格が製造部門からの出し値。在庫に対する社内金利を市中金利より高めに設定し、営業の経費として徴収する⇒在庫は営業の責任ということをハッキリさせる。

(5)  アメーバ経営効率化のポイント

  1. 売上(総生産)を増やす⇒注文をより多く確保⇒値決めは経営、値決めとコストダウンを連動させる
  2. 経費を減らす⇒無駄を省く
  3. 時間を短縮する⇒作業効率の向上⇒差引売上比率の向上(社内加工利率)

 

<感想>

2006年に初版が出た本でアメーバ経営の本の走りだと思います。

基本的に大企業向けで中小企業には合っていないと思いますが(特に社内での売買などは)、成果を時間で割って評価する方法は今の生産性を向上させようとする考え方の先駆けであり、中規模会社なら使えると思い載せてみました。

 

アメーバ経営
京セラ創始者稲盛和夫氏の名著