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書籍⑬遊ぶ鉄工所

京都府の宇治にあるアルミ加工業の会社の副社長さんの著書です。

http://hilltop21.co.jp/

 

私の読む本はほとんど毎日受けているメールマガジンで宣伝されている本になりますが、こちらはダイヤモンドオンラインで宣伝されていたものです。ダイヤモンド社の本は、業績が悪くなった会社をいかに立て直したか、という本が多いですが、この本はさらに製造業独特の問題に対しても対応しているの今回選んでみました。

 

タイトル   遊ぶ鉄工所 

 

出版社    ダイヤモンド社 

 

著者     山本昌作

 

価格(税別) 1,500円

 

 

 

中小企業経営者     ☆☆☆ ☆

 

中小企業診断士勉強者  ☆☆☆

 

<内容>

◎プロローグのまとめ

・目指しているのは「24時間無人加工の夢工場」

・そのためのビジネスモデルは、①量産物はやらない、②ルーティン作業はやらない、③職人はつくらない

・取り組んだ5つの改革

1.人を変えた:にわか職人はいらない。にわか職人とは経験や勘に頼り、自分の技術を定量的、理論的に説明できない職人。技術は見て盗目が口癖。

2.本社を変えた:社員の対話と創造性を重視した、ピンクの新本社。

3.つくるものを変えた:大量生産のニーズは日本からは消えた。単品ものに特化。あの会社にお願いしたらどんなものでもつくってくれると思われないと生き残れない。

4.つくり方を変えた:昼間、デスクで人がプログラム作り、人が帰った夜に機械が働く。

5.取引先を変えた:1社依存率を30%以下。毎年取引先が100社入れ替わる。

・これからの製造業は、ものづくりからサービス業へ、「製造サービス業」でないと生き残れない。

 

1.脱下請!楽しい事しか仕事にしない「夢工場」

◎仕事の楽しさは知的作業の中にある。

・ルーティン作業と知的作業を区別して、知的作業は人が担い、ルーティン作業は効率良く情報化・機械化する。機械にできることはどんどん機械に任せ、人はより創造的な分野での知的作業を楽しむ。

 

◎お金より人を残す。

・社員のスキルとモチベーションを上げることが会社の存在意義。

・経営者の仕事は、外からチャンスを持ってきて事業にすること。ストライクゾーン(得意分野)から少し外れたボールゾーンにチャンスがある。

 

◎親会社に生かされているのではなく、自分たちで生きるを選択

・ジャストインタイムこそ下請けいじめ

・1社依存率は30%以下。

・ウィンウィンの相手だけと取引。良い仕事=自分たちのモチベーションが上がる仕事、自分たちのスキルが上がる仕事、会社のビジョンに近づく仕事。

 

◎パレートの法則よりロングテール戦略

・全体の80%が1.2個の受注。取引先は3000社。毎年100社が入れ替わる。

・あの会社にお願いしたらどんなものでも作ってくれると言われる多品種少量生産への対応が求められる。

 

2.業界初!24時間無人加工にしたヒルトップシステムの秘密

・職人としてのノウハウや能力を一度全部捨てる。捨てるとは、データ化する、企業内にデジタルとして落としていく、マニュアル化すること。

 

3.社員自ら動きだす!モチベーションが自動的に上がる方法

・生産性や効率が下がったとしても、ジョブローテーションは行った方が良い。

・ジョブローテーションを行う3つの理由:①モチベーションの低下を防ぐ、②社内にノウハウ・ナレッジが蓄積される、③社員の引き出しが増える。

・上げるのは生産性ではなくモチベーション。

 

4.初公開!どんな社員でも入社半年で一人前になる育て方

・ヒルトップの経営理念:理解と寛容をもって人を育てる。

・人が育つ「アメが8割、ムチが2割」の原理。

・有頂天になると成長スピードが加速する。ただし、うぬぼれ始めたら、ジョブローテーションで新しいフィールドを与える。

 

・知的作業の善循環サイクルと回す。

①成果が出る⇒②ノウハウを標準化する⇒③キャパシティが空く⇒④新しい事にチャレンジする⇒⑤成果がでる

 

◎ものづくりの前に人づくり

・入社2年目の社員に新卒教育を任せる。

・中小企業は何年もかけてじっくり育てる余裕はないので、半年で一人前にするためのカリキュラムを作る。

⇒①職人のノウハウを「歴史」「理論」「技術」の3つに分ける、②「リアル」と「バーチャル」の両方を通じてものづくりを学ぶ、③「振り返りシート」を使ってPDCAを回す。

 

5.この新卒採用で会社が変わり始めた!

・採用活用で、①優秀な人材を採用する、②既存社員のスキルアップを目指す。

・自分たちの仲間は自分たちで選べ

 *自分たちが望んでいるのはどんな社員なのかを考えるようになる(会社の現状と将来のビジョンについて考えるようになる)

 *学生にヒルトップの特徴(長所と短所)を説明するために、自社について改めて勉強するようになる。

 *人を採用する立場になることによって「人」と真剣に向き合うようになる。

 

<感想>

内容はもちろん参考になるところ、ならないところありますが、結構私が普段から思っていることをズバッと言ってくれているので読んでいてすっきりしました(笑)。

遊ぶ鉄工所
遊ぶ鉄工所