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書籍⑮本質思考トレーニング

私も忙しい時は簡単に結論を出して後で後悔するときがあります。

そんな後悔をしないたまめにこの本を読んでみました。

 

タイトル   本質思考トレーニング

出版社    日本経済新聞出版社

著者     米澤創一

価格(税別) 1,500円

 

中小企業経営者     ☆☆☆

中小企業診断士勉強者  ☆☆☆

 

<内容>

意味のある会話をするために本質把握力は不可欠。

本質把握力を強化し、本質思考を身に着けることが大切。

「答えそのものを求める(答えに飛びつく)」「手段を求める」クセに注意。問題の本質を理解し答えを導くプロセスを意識する。

 

本質的問題解決を妨げる9の罠とその脱出法

①思考のショートカット

・成功体験、常識、通説、権威、世論などに安易に従ってしまったり、考えることなく決めつけてしまったりすること、目の前の現象などに惑わされてそれがなぜ起こったかを考えずに原因を決めつけ不適切な手段をとってしまうこと。

・因果関係と相関関係は異なる:因果関係がなくても相関関係が見られることは良くある。偶然の相関関係をあたかも意味のあるように解釈してしまうのは人間の脳のクセ。

・脱出法:①ゼロベースで一から問題に取り組んでみる。②事実なのか、意見なのか、情報発信者はどのような意図をもって発信したのかなどを考える。③それまでに考えてきたこと、使ってきた手段等を忘れてみる。④部外者や門外漢からの素朴な質問などを聞く。

 

②現状黙殺

・問題の本質、行為の目的は把握できているものの、現状を正しく認識できない(素直に認められない)ために具体的な手段、方法にたどり着くことが困難。

・脱出法:①事実か意見かを識別。②まず受け入れて第三者目線でその情報が何を示しているのかを考える。

 

③浅い分析

・予実差異が把握できた時にその差異自体を問題の本質と勘違いしたり、予実差異を生み出した根本原因解析が不十分で問題の本質にたどり着かない。

・せっかく予実差異を正確に把握しても、根本原因解析が不十分だと、対症療法にとどまってしまう。

・脱出法:根本原因分析(RCA)を行う⇒①主語、述語、目的語を正しく使い、具体的な表現を心掛ける。②なぜを何回も繰りかえす(最低5回)。

 

④安易な手段

・問題の本質を正しく理解し、現状を把握し、予実差異とその根本原因まで分析ができているのに、手近にある手段、安易な手段に満足してしまう。「答えそのものを求める」クセに近く身近にある解決策で良しとしてしまう。

・脱出法:自分一人で手段を選択しない。自分の上司だったらどのような判断を下すかを考える。専門家の意見を聞く。

 

⑤やりっぱなし

・解決策の実行に満足してしまい、最終的に問題解決されたか否かを計測、確認せずに、問題解決した気になってしまっているケース。

・脱出法:現状把握をする。それにより次の一手を考える。

 

⑥怒りの代償

・感情の起伏によって長い目で見た時に明らかに損な選択をしてしまう。

・脱出法:自分を客観視し、自分を観察することによって、抱えている怒りや悲しみの感情と自分自身を切り離す。

 

⑦脳のクセ

・「無意識のバイアス」。人間の脳はわかりやすい描写を好む傾向がある。

・脱出法:自分の脳のクセをあらかじめ知っておくことにより、自分が出そうとしている判断がその影響を受けているのではないかと見直す。

 

⑧他人事シンドローム

・子供のころ親から、会社に入って上司から、「言われた通りにやりなさい」と言われ続けるとなる。

・脱出法:地道な根本原因分析(RCA)を行う。なぜ起きたのかを深堀する。

 

⑨解決済なのに気づかない

・問題の本質的な解決を望んでいるものの、過去に解決しきれなかったため、半ばあきらめてしまっており、定期的な状況確認を行わず対処療法をし続けている状態。

・脱出法:定期的に自らの状況、周囲の状況を観察する。自からが変わっていなくても周囲の環境が変化することで、問題解決がなされていたり、問題が変質したりしている可能性がある。

 

罠にはまらないための9つのエクササイズ

①想定力を鍛える:想定されるベストケースとワーストケースを考える。

②懐疑的スタンス:どんな条件下でもうまくいくような万能な解決策はない。選んだ解決策が効果を出せない条件を考える習慣をつける。

③なりきる:他人になりきり、その人の立場、視点から物事を見つめなおすと多くの学びと納得感を得られる。自分事化し、オーナーシップを持つ。
④情報発信の者の意図を読む:情報識別力を鍛える3つの方法:①事実と意見の識別、②なぜその表現を使ったかを考える、③なぜその特定の部分が切り取られて報道されたのかを考える。
⑤映像化してみる:複雑な説明を試みる時には言葉(文章)だけではなく、写真や絵、動画を添え、複数の表現方法で表現する。
⑥ルールメーカーになってみる:ルールを作る側の立場になってみる。現状のルールに不満がある時、ルールをどのように変更したら良いか、現行のルールがなぜそうなっていないのかを考える。
⑦自分ウキペディアを作ってみる:新しい言葉に出会った時に、自分が完全に理解できている言葉だけを使って文章でその新しい言葉を表現してみる。
⑧データ分析習慣をつける。
⑨自社を破壊する事業を考えてみる:自分が携わっている事業の本質を考え、それを破壊するのはどんな事業なのか、それが成り立つのはどんな状況(規制がなくなる、ある技術が実現化されるなど)なのかを考えてみる。四半期に一度ぐらい行い、検討結果は保管して検討のたびに見直す。

<感想>

常になぜ、なぜ、なぜと深く考えている人には必要ないかもしれません。
最後のエクササイズをやってみると、簡単に結論を出して後で後悔する可能性が減ると思います。