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書籍㉞実例でわかる実践BtoBマーケティング

タイトル    実例でわかる実践BtoBマーケティング

出版社    日本能率協会マネジメントセンター

著者     佐藤義典

価格(税別) 800円

 

中小企業経営者     ☆☆☆ ☆

中小企業診断士勉強者  ☆☆☆

 

<内容>

以前ご紹介した「経営戦略立案シナリオ」の作者、佐藤義典さんの著書です。

 

序章 なぜお客様に「選ばれない」のか?

●BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いは、顧客が「組織」であること。その違いに合わせたマーケティングをする必要がある。

●「売れる」とは「お客様に選ばれる」こと。そのためには、自社を顧客視点で串を通す必要がある。そのための考え方が「5つの戦略要素」をまとめた「戦略BASiCS」。(「戦略BASiCS」に関しては過去のブログご覧ください)

●マーケティングを考える際のキーワードは「一貫性」(論理的整合性)と「具体性」(現場的肌感覚)。一貫性と具体性を両立することで、売れる確率が高まる。

●「戦略」が「売り物」(商品・サービス、価格など)と「売り方」(広告・販促、販路・チャネルなど)という「行動」を通じて具現化され、「売上」に結びつく。「戦略」が「行動」にいよって具体化され、「行動」が「戦略」によって一貫性を持つ。

 

第1章 お客様の嬉しさを考えようーベネフィットー

●戦略BASiCSで最初に考えるべきは「C:顧客}。顧客は何を求めているのかを知ろう。

●「ベネッセ」とは「顧客企業が(自社商品・サービスを通じて)達成したい目的」であり、「お客様に選ばれる」にあたって、最も重要な概念の1つ。

●顧客企業が「買っている」ものは、「自社の商品・サービス」ではなく、「顧客企業にとっての価値」すなわち「ベネフィット」である。従って、自社は「商品・サービス」を売っているのではなく、ベネフィットを売っている。

●顧客企業が求めているベネフィットは、基本的には「稼ぐ」(利益向上)こと。従って、自社が顧客企業に選ばれるためには、「お客様が自社商品・サービスをどう使ってどう稼ぐか」という「使い方」と「稼ぎ方」を提案する必要がある。

●「自社商品・サービスの使い方と稼ぎ方」が具体的であればあるほど、「選ばれる提案」となる。「ウチを使えばアナタが儲かる」ことを具体的に証明しよう。

●顧客企業のベネフィット=使い方×QCD×PL/BS

  ステップ1:使い方:モノではなく使い方を提案する

  ステップ2:QCD:品質、コスト、納期の改善に貢献する

  ステップ3:PL・BS:利益のへの貢献ポイントを具体化する

 

第2章 お客様を知ろう!ーセグメンテーションとターゲティングー

●戦略BASiCSで最初に考えるべきは「C:顧客」。色々なお客様が存在するので「分けて」対応する必要がある。分けることが「セグメンテーション」で、そのうちで優先的に「狙う」お客様を決めるのが「ターゲティング」。

●お客様を「分ける」理由は、求める「ベネフィット」が違うから。お客様ごとの「ベネフィットの違い」を把握しよう。

●BtoBのセグメンテーションは、「会社×部署×個人」の組み合わせ。会社によって、部署によって、そして個人によって求めるものが異なる。それぞれが求める「ベネフィット」を把握しよう。

●顧客企業は「組織」で動く。購買意思決定に働く「力学」を理解し、精緻な「顧客戦略」を立てよう。

●顧客企業をに出す「請求書」は、取引先、購入商品、購入金額などがわかる「宝の山」。請求書を分析して、自社ビジネスの全体像をつかもう。

 

第3章 お客様のお客様を知ろう!ーBtoBtoC-

●顧客企業が求めるベネフィットは、「自社の利益向上」だから、顧客企業が見ているのは「顧客のお客様」。BtoBで「顧客の立場に立つ」とは、顧客企業に寄り添って、その先にいる「顧客企業のお客様」を一緒に見ること。

●顧客企業がBtoCの場合は、自社(最初のB)→顧客企業(中間のB)→顧客企業のお客様(最後のC)という、「BBCフロー」で考えると、顧客企業の視点がわかりやすくなる。

●顧客企業は「アナタのお客様にこういうことをすれば、アナタは儲かる」という提案を望んでいる。その提案をするためには、BtoBビジネスにおいてもBtoCマーケティングを知る必要がある。

●顧客企業のマーケティングを手伝い顧客企業の利益を上げることは、最高のマーケティング・営業となる。

●顧客企業のセグメンテーションを行う際に、「お客様のお客様」を切り口に使うと「切れる」ことが多い。それは、顧客企業もそのお客様のニーズに応えようとするから。

 

第4章 競合を把握しよう!ー競合は自社以外の選択肢ー

●戦略BASiCSの「B」は「戦場・競合」。「強み」を考える前に、「誰と比べての強みか」という「戦場・競合」を把握しないと真の「強み」はわからない。

●「戦場」は「自社は何屋か」という「顧客企業から見た自社の売り物」によって定義される。「お客様が買うもの」はベネフィットであるため、「自社の売り物」も「ベネフィット」となる。よって、「戦場」とは「お客様が達成したい目的」というベネフィットで定義される。

●「競合」は、自社の商品・サービスと「同じベネフィット」を提供する、「お客様にとっての選択肢の集合」。業種業態が同じ会社とは限らない。「自社がなかったら、どうするか?」とお客様に尋ねてみよう。

●「競合」は、「お客様にとっての選択肢の集合」であるから、お客様が決める。さらに「競合」が「顧客セグメント」によって異なる(ことが多い)。逆に、「顧客」がわかれば、顧客が求めるベネフィットもわかる(ことがある)。

●「顧客セグメンテーション」の重要な切り口の1つが「競合の利用状況」。「重視すべき顧客」は「競合の利用状況」と合わせて考えよう。そのためには、「競合の利用状況」を把握しよう。

 

第5章 「お客様に選ばれる理由」を作ろう!ーBtoBの差別化戦略

●戦略BASiCSの「S」は「強み」。「強み」は「競合ではなく」自社を選ぶ理由だから「誰かと比べて」という「競合」により強みが変わる。「お客様」が選ぶ理由だから「誰にとって」という「顧客」によっても強みが変わる。全体の一貫性が重要。

●「強み」(選ぶ理由)を知っているのはお客様だから、「強み」はお客様に聞いてみよう。強みは「(競合)ではなく(自社)のほうが良い。だって(強み)だから」という「お客様の誉め言葉」として定義しよう。

●戦略BASiCSの「A」は「独自資源」。「自社を選ぶ理由」である「強み」を「競合がマネできない理由」が「独自資源」となる。「強み」と「独自資源」を分けて考えることで、より「間違え」の少ない戦略を立てやすくなる。

●独自資源は、目に見える「ハード資源」(技術・設備・立地など)と目に見えない「ソフト資源」(スキル、理念、人、関係性)に分けると考えやすい。その「資源」が本当に「独自」である(競合にはない)ものがどうかを確認しよう。

●差別化戦略は、3つしかない。「速い安い便利」の手軽軸、「最高品質・最新技術」の商品軸、「お客様の個別ニーズ対応」の密着軸。その軸に沿って「強み」と「独自資源」の一貫性を取るころによって「お客様に選ばれる」会社になれる。

 

第6章 強みをお客様に伝えよう!ー強みを伝えるメッセージー

●戦略BASiCSの最後の「S」は、メッセージ。ここまでの「顧客」「競合」「強み」「独自資源」という戦略要素をまとまた言葉として、お客様や社内に伝える。

●メッセージで伝えるべきことは「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」である「強み」。強みを伝えて売れなければ、戦略自体が間違っている可能性がある。メッセージは戦略が機能するかどうかのチェックポイントとなる。

●メッセージは最終的には「(競合)ではなく(自社)の方が良い。だって(強み)だから」という「お客様の誉め言葉}となる。競合にも使えるようなメッセージでは競合と差別化できていないし、お客様がそれを聞いても自社を選ばないのであれば「刺さらない」。

●BtoBtoCの場合は、自社のメッセージが「最後のC」までBBCフローの上を滞りなく流れていくように、中間のB、最後のCへの伝え方を計算、工夫する。商品カタログや提案書には、取説をつけるなどの工夫を考えよう。

●メッセージは、社内にも浸透、徹底する必要がある。それによって「売り物」「売り方」という社内の行動を統括し、戦略を現実化する役割を負う。

 

第7章 BtoBの実践営業ー戦略を実行する手法ー

●プロダクトフローは「あげる商品」「売れる商品」「売りたい商品」という商品の流れ。新規顧客開拓の際には、あげる商品→売れる商品へと無理なくお客様を誘導しよう。

●BtoBでの「あげる商品」は「お客様にとって有益な情報」となることが多い。どんな会社、商品、サービスにも「有益な情報」は必ずある。色々な切り口で「有益な情報」を考え、「あげる商品」として有効活用しよう。

●「成功事例」は非常に有効な「あげる商品」。お客様のベネフィットや顧客セグメンテーションなどを考え、戦略的に成功事例を体系化しよう。成功事例は「ファイル化」して社内知識を共有化し、営業つーるにしよう。

●お客様との関係強化のためには「継続的コミュニケーション」をしよう。自社の状況にあった「コスト効率」の高いコミュニケーション手法を考えよう。

●ここまでの戦略BASiCSの要素などを全てまとめた一覧性の高い「顧客カルテ」を作ろう。カルテを日報や人事評価と連動させた「売れる仕組み」を作ろう。

 

第8章 「選ばれる」存在から「頼られる」存在になろう!ー戦略BASiCSー

●ここまでの「戦略BASiCS」を使って、「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」を作れれば、お客様に「選ばれる」存在になれる。さらにもう一歩進んで、お客様に「頼られる」存在になろう。

●お客様に「頼られる」存在になるためには、自社、自分が「顧客企業の戦略BASiCSにおける独自資源」になることがポイント。自社、自分が顧客企業の「独自資源」になるような「売り物」「売り方」を考えよう。

●うまくいかない場合は、「考え方」(戦略)が間違っているか、やり方(実行方法)が間違っているかのどちらか。戦略BASiCSできちんと考え、しっかり実行に落とし込むことで成果につながる。

●BtoBマーケティングもBtoCマーケティングも実は本質は変わらない。BtoCマーケティングを知ることにより、戦略BASiCSの構想力が高まり、BtoBtoCにおける提案力も高まる。

●顧客企業の戦略BASiCSを考えるためは、顧客企業のことを良く知ろう。顧客企業のお客様についても、顧客企業に負けないような知識を持とう。顧客企業の戦略BASiCSが描け、お客様と一緒に考えられるようになれば「頼られる存在」になれる。

 

<感想>

日本生産性本部の講師の方々や他の診断士の方も結構使う商品の3つの差別化戦略「手軽軸」「商品軸」「密着軸」の発案者の佐藤義典氏のBtoBマーケティングの本で、内容は濃いと思います。

「顧客企業のベネフィット=使い方×QCD×PL/BS」も分かりやすくまとめてあるのですが、内容が結構しつこいのが・・・(笑)。