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書籍㊶キーエンス流性弱説経営

 また久々の書籍紹介です。☆の数が少ない書籍ばかりで申し訳ありません。

 

タイトル     キーエンス流性弱説経営

出版社    日経BPマーケティング

著者     高杉康成

価格(税別)  1,700円

 

中小企業経営者     ☆☆

中小企業診断士勉強者  ☆

 

<紹介&感想>

 この書籍ブログは私が後日使いたいことだけを載せたいんですが、それだと分量が少なくなることもあるので、これまでは章ごとにまとめを記載していました。今回の書籍は、”私にとって”必要な部分だけ載せており章立てになっていませんのでご了承ください(笑)。

 

 キーエンスの秘密はわかりますが、多分普通の会社ではできないと思いますし、できたらキーエンスまでいかなくても、かなりの高付加価値化ができるのではと思います。

 

<内容>

 顧客のニーズを捉え新商品を開発していくときの、開発手法として①性善説視点と②性弱説視点があり、キーエンスは後者を選んでいる。性善説視点とは人は皆本来善人であり、正しく聞けば正しく答えてくれる、やるべきことをきちんとできる、物事の道理や常識を分かっているし実践できると考える。性弱説視点は人は本来弱い生き物なので、難しいことや新しいことを積極的には取り入れたがらず、目先の簡単な方法を選んでしまいがちと考える。

 

 キーエンスの仕事の進め方の例が以下のようになる。

①価格の設定方法とソリューション提案

 ・役立ち度が高ければ高く販売できると考え、①困りごとが大きいもの、ことを探す、②困りごとの大きさを、

  その困りごとを解決するための価格(解決策を見つけるまでの時間×時給+修理に出す準備時間×時給+修理時間

  +再設定時間×時給)を計算、③通常の商品価格+困りごと解決のための価格を販売価格として、

  その困りごとの確認や共有をしながらソリューション提案を行う。

   例:①商品のPRをする際、困りごとが解決されていることをしっかり伝える

     ②この困りごとを経験したことがあるか確認する、

     ③その時に具体的にどのように困り、どのように解決したかを確認する。

 

②基本的な営業戦略

 ・困りごとが大きいもの、ことを探す

 ・それを商品化する

 ・困りごとを見える化する

 ・困りごとを顧客と共有し、その大きさに気づいてもらう

 

③潜在ニーズを獲得する方法

 ・顧客の困りごとを聞き取る

   ①顧客の業界や商品、工程に詳しい

   ②自社商品の顧客企業における役立ち方(効果的な使い方)を熟知している

   ③顧客から短時間で必要な情報を収集するヒアリング能力がある

 ・対応する仕組み

   ①顧客の業界や工程に詳しくなるための資料、ツールを充実させる

   ②自社商品の役立ち事例の整備

   ③短時間で情報を聞き出すトレーニングの場の設定⇒ロールプレイング

 ・社会環境との連動は新商品の持続性に影響する

 

④キーエンスの従業員を働かせるための仕組み

 ・1時間の付加価値生産性の徹底:1時間当たり3万円!

 ・事前事後報告会ー事前に聞いていないよを無くす

 ・真面目に仕事に取り組んだ人が損をするような評価指標を設定しない:評価は予算達成率、前年比伸び率、

  絶対売上額などいくつかの評価を組み合わせる。

 

⑤潜在ニーズを引き出せる開発情報の集め方

 ・顧客から引き出せる情報は以下の3つ

  ①販売活動につながる「営業情報」:時期、数量、金額、予算、競合など商談で必ず聞く情報

  ②導入のために必要な「導入情報」:サイズ、機能、性能など商品・サービスを実際に導入できるかどうかを

   確かめるための情報

  ③役立ち度の高い商品の開発やソリューション提案に繋がる「開発情報」

   ・必要理由:なぜ必要とされているのか

   ・現状方法:今まではどんな方法を採用していたのか

   ・現状方法の問題点:今までの方法ではなぜだめなのか

   ・問題の大きさ:今までの方法でどのくらいの時間・工程がかかるのか

 

⑥仕組みを活かす仕組みを作る

  ・一分単位の日報+ハッピーコール(上司が顧客へ営業訪問を確認する電話)

  ・ニーズカードに対する報償と罰

  ・50%の達成率になる目標設定:12か月連続達成は疑う

  ・上司、部下共に納得のいくKPI設定:数を絞り選んで貰う

  ・経営理念や行動指針の浸透徹底

  ・謝罪ではなく真因と解決策を求める会議運営:施策の有効性

 

 ⑦新商品開発のためのポイント

  ・ニーズカードの注意点

     ・注意すべきニーズカード:特殊なニーズ、意見、作文

 

⑧ソリューション提案ための準備

  ・ニーズの把握:本質的なニーズの探索⇒(キーエンス対策)他の成功事例からの展開

  ・解決策検討:最適な解決策の検討⇒同上

  ・導入可能性模索:費用対効果、実現可能性の最大化⇒同上

  ・顧客への提案:顧客へ理解してもらいやすい提案⇒定型フォーマットの共有

   ⇒その結果、①営業担当者のスキルによるばらつきが発生しにくい、②顧客の先入観を無くし、

     工程全体での困りごとに発見につながる

 

 

 

 ⑨ファブレス企業として

  ・ニーズを構造化して仕様を見切る⇒各仕様の重要性により、重要度が低いものは見切り、価格を安くする。

  ・ニーズを構造化するためには、その4要素(①誰が、②今どういった方法を採用して、③何が問題で、

   ④どのくらい困っているか)を捉える必要があり、マーケティング・企画立案体制が重要。

 

⑩キーエンスのCRMの仕組み

 ・現場に入り込んだ営業担当者から質の高い開発情報がフィードバックされる

 ・それを判別してツールを制作する担当者も優秀なので質の高いツールができる

 ・それをホワイトペーパーとしてホームページに掲載

 ・顧客が興味を持ってダウンロード

  ・ダウン度ロードした事実を基に営業担当者が素早くフォローする