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中小企業新事業進出補助金について

 今週は事業再構築補助金の後釜と言われている中小企業新事業進出補助金について簡単ですが、ご説明させていただきます。

 当補助金のウェブサイトは以下になります。

 https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/

 

 ブログをお読みいただきご興味を持たれた方は是非以下の3つの資料をダウンロードしてみてください。

 ①公募要領:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_koubo.pdf

 ②新事業進出指針の手引き:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_shishin_tebiki.pdf

 ③新市場・高付加価値事業とは:https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_shinsijyo_koufukakachi.pdf

 

 概要は以下のようになりますが、支援者の方には事業再構築補助金とほぼ一緒とお伝えできる内容と思います。あれだけ炎上したので、名前を差し替えた感じでしょうか(笑)。

 

(1)補助金の目的(公募要領P6)

⚫ 中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。

 

 上記の通りですが、新市場に進出しなくても高付加価値事業なら申請可能ということになっています。実際に新市場でなく、単なる高付加価値商品の開発、発売で採択されるのかは出してみないと分かりませんが、新市場かつ高付加価値商品の方がより採択されやすいとは思います。申請書上ではどちらかを選択するようになっています。

 以下が資料③からの抜粋です。

 

 

 次に補助金の補助金額、補助率、対象物になります。公募要領のP12になります。

 

 

 補助金額に関しては上限、下限とも事業再構築補助金より高くなっています。上限アップは嬉しいですが、下限のアップは注意が必要です。今回は投資額1,500万円が最低必要となっています。

 補助率は全員1/2に統一されました。こちらは分かりやすくて良いと思います(笑)。

 

 補助対象物に関しての詳細は公募要領のP24~27を見ていただきたいのですが、他の補助金と大きく異なる建物費は今回も入っています。またそれに合わせて構築物(塀など)も対象となっています。事業再構築補助金では対象でなかったので、これは結構大きいと思います。

 また建物費についてですが、①建設及び改修費が対象で購入費は対象外、②商品開発用の設備・システムの導入があって初めて建物費が対象になるようになっていますので、ご注意ください。

 

 次は、申請要件になります。こちらは以下の6点になります。

  ①新事業進出要件

  ②付加価値額要件

  ③賃上げ要件

  ④事業場内最賃水準要件

  ⑤ワークライフバランス要件

  ⑥金融機関要件

 

 ①新事業進出要件(公募要領P14)

  こちらはほぼ事業再構築補助金の要件と同じような気がします(笑)。

  以下ご覧ください。資料②のP4、5、11です。

 

 このように書いてありますが、当補助金は新市場進出だけではなく高付加価値化も支援するため、初めの方にご説明したように、新市場でなくても、高付加価値商品なら要件的にはOKとなっています。

 分かりづらいですね(笑)。

 

 ②付加価値額要件(公募要領P14)

 ●補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

 

 こちらは事業再構築補助金の要件と同じだと思います。

 

 ③賃上げ要件(公募要領P15)

 ●要件 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと

 (1)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること

 (2)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること

 ●目標値未達の場合、補助金返還義務あり

 

 千葉県は平均賃上げ率が3.1%になります。

 事業再構築補助金は給与支給総額が2.0%以上増加でしたので、こちらの要件は厳しくなっています。

 

 ③事業場内最賃水準要件

 ●要件 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること

 ●目標値未達の場合、補助金返還義務あり

 

 こちらは新要件ですが、③の要件が事業終了時に平均成長率で実績を見るため年によっては目標に行かなくても良いですが、こちらの要件は毎年必達のため、一年でも達成できないとその分の補助金返金が要求されます。こちらも要注意!!です。

 

 ⑤ワークライフバランス要件(公募要領P17~18)

 ●要件 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること

 厚生労働省サイト: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11367.html

 両立支援のひろばサイト: https://ryouritsu.mhlw.go.jp/index.html

 

 上記のうち、両立支援のひろばサイトを見て頂くと概要が分かりますが、分かりづらいのて次週のブログでご説明します!!

 簡単に言うと、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組む計画を作って公表してくださいという事です。

 こちらを進めていくと「くるみん」認定も取ることができます。「くるみん」は加点項目なので、時間があれば申請前に取ることをお勧めします。

 

 ⑥金融機関要件

 ●要件 補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること

 

 こちらも事業再構築補助金と同じく、金融機関からの確認書が必要になります。

 

 次に申請書の書かなければならない項目についてご説明します。公募要領のP33~35です。

 後日「事業計画テンプレート」が出るとのことですが、基本以下の内容でまとめていただければ良いようです。こちらも事業再構築補助金と大きくは変わっていません。

 

 

 以下は公募要領のP42~44の審査項目になります。

 上記の記載内容の基礎になっていますので、こちらもご確認ください。

 

 

 最後に加点項目になります。

 ① パートナーシップ構築宣言加点

   「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している事業者

 ② くるみん加点

   次世代法に基づく認定(トライくるみん、くるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた事業者

 ③ えるぼし加点

   「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成 27 年法律第 64 号)」に基づく認定(えるぼし1~3段階又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている事業者

 ④ アトツギ甲子園加点

   アトツギ甲子園のピッチ大会に出場した事業者

 ⑤ 健康経営優良法人加点

   健康経営優良法人 2025 に認定されている事業者

 ⑥ 技術情報管理認証制度加点

   技術情報管理認証制度の認証を取得している事

 

 加点項目については、前回のブログをご覧ください。

 最低パートナーシップ構築宣言は必要、できれば②くるみん、③えるぼし、⑤健康経営優良法人の内2つ、合計3つ取れると採択率がかなり高くなると思います。ものづくり補助金の資料によると加点項目がゼロだと採択率33%に対して、3つだと57%と倍近くになっています。是非参考にしてください。

 

●おまけ

 元々この補助金は事業再構築補助金の余った基金を中小企業省力化補助金とこの補助金で分けて使うことになっています。当初の予算だと当補助金だけで約6000件の採択を予定していると資料には出ていましたが、中小企業省力化補助金の状況次第では増減も起こりえます。中小企業省力化補助金が人気になるとは現状思えないので(笑)、こちらは増える可能性の方が高いと思いますが。。。。

 

 いつもお伝えしているように、補助金があるので何かやるではなく、既にやろうと決めている新規事業等があり、スケジュールが合えば補助金を検討してみることをお勧めします。特に賃上げが要件の補助金は従業員が多い事業者だと賃上げ額の方が補助金額より多くなる場合もありますので、注意が必要です。

 

 もしご興味があれば、①地元の商工会、商工会議所、②メインバンクにご相談ください。

 当事務所でも対応可能ですので、是非ご相談ください。