ご紹介が少し遅くなりましたが、本年も中小企業白書と小規模企業白書が中小企業庁から発行されました。
内容が纏まった概要はこちらからご覧いただけます。
https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250425001/20250425001.html
中小企業白書の本文がご覧になりたい方はこちら。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html
小規模事業者白書の本文がご覧になりたい方はこちら。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/shokibo.html
なぜか鯉が本年度の表紙となっていますが、以下の画像からは本文へのリンクが掲載されているページへ飛びますのでこちらからもご覧ください。
両白書の本文はそれぞれ455ページ、382ページありますので、概要のページを読んでのポイントをご紹介させていただきます。丸写しですが(笑)。
(1)中小企業・小規模事業者の動向
令和6年度は円安・物価高が継続し、30年ぶりに「金利のある時代」が到来しました。輸出より輸入比率が高く、借入金依存度も高い中小企業・小規模事業者にとって、これらは利益下押しのリスクとなり得るため、中小企業・小規模事業者が直面する状況は依然として厳しい状況です。
また、2024年の春季労使交渉では、約30年ぶりの賃上げ率を達成しましたが、大企業との差は拡大しました。中小企業の労働分配率は既に8割に近いため、更なる賃上げ余力も厳しい状況です。一方で、人手不足は依然として深刻な状況にあるため、人材確保のために業績改善を伴わない賃上げも増えています。
こうした状況を踏まえれば、コストカット戦略は限界を迎えています。物価、金利、人件費の上昇と、構造的な人手不足に直面する今こそ、積極的な設備投資・デジタル化と、適切な価格設定・価格転嫁の推進により、付加価値や労働生産性を高める経営に転換していくことが必要です。
(2)中小企業・小規模事業者の成長・持続的発展に向けて有効な取組
こうした課題を乗り越え、成長・発展を遂げるに当たっては、経営者が、自らが置かれている状況と方向性を把握し、的確な対策を打つ力としての「経営力」が重要です。本白書では、「経営力」について、以下3つの観点から分析を行いました。
A.個人特性面:
異業種・広域ネットワークで他の経営者と交流し、学び直しに取り組む経営者の成長意欲の高さは業績向上に寄与する。
B.戦略策定面:
経営計画策定・実行、差別化や市場環境を意識した適切な価格設定を行う戦略的経営は業績向上や賃上げ・投資を促進する。
C.組織人材面:
経営理念、業績・経営情報の共有を重視するオープンな経営は業績向上に寄与する。
賃上げ、社内コミュニケーション円滑化、働き方・職場環境改善など、従業員を大切にする人材経営は従業員の確保・維持に貢献する。
その上で、中小企業では、売上高規模ごとに異なる「成長の壁」の打破が必要となります。成長の加速段階では、経営者にないスキルを持つ補完型人材の確保や、経営者の職務権限分散による一人経営体制の克服が重要であり、売上高100億円以上では、拡大する組織を経営者と共に支える経営人材やDX人材の確保が重要です。また、企業規模拡大には、積極的なM&Aやイノベーション、海外展開の推進が有効な手段となり得ます。
小規模事業者では、事業規模・商圏が限られる中、差別化による独自の強みの創出が重要です。また、経営計画策定等を通じ、経営者のリテラシーを高め、経営の振り返りと改善のサイクルを通じた「経営の自走化」を目指すことも重要です。加えて、地域の社会課題解決事業を担うビジネスの推進も期待されています。
2025年度版(2024年度の総括&提言)はこんな感じです。
これまでと大きく変わっていないと思いますが、相変わらず不安定な状況で、中小企業は経営者がオープンマインドを持って、一緒に経営をできる人材を採用、育成してチームとして成長を目指しましょう、また小規模事業者は規模ではなく地元での課題解決など差別化による独自の強みの創出を目指しましょうとの提案です。
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